
「設計料」の根拠となる建築家の仕事とはどんなものでしょう。どれほどの人件費がかかるのか、または値打ちがあるのでしょうか?ここでは建築家の業務について順を追って紹介します。
以下はフューチャーハウジング(FH)会員建築家に限らず、間違いのない家づくりのため建築家一般に求められている業務です。
- 基本設計業務
- 実施設計業務
- 施工業者選定
- 施工監理
ただし実際は、全ての設計事務所が1〜4まで行っているという訳ではありません。上記3、4は省略またはおろそかにされているケースが多くあります。 私たちの結論は、1〜4までのことを全て完全に行うことが安心・満足の家づくりのために欠かせない業務と考えています。
FHの家づくりは上記3、4の業務を特に重視しています。
FHは工務店選定および施工監理を強力にバックアップします。
建築主の要望や予算を基に、法規と照らし合わせながら大まかな全体の構成を図面化してまとめていきます。模型やパ−スなどを作成して、より具体的なイメ−ジを掴む作業をすることもあります。概算見積もりなどをこの段階で作成する場合もあります。施主へのプレゼンテ−ションを行い、平面構成や外観、仕上げ材の大まかな方向性などを計画するのがこの段階です。
a. 情報収集
敷地の立地条件調査、法規の照合、設計条件ヒアリング、から始まって基本設計図(平面図、立面図、断面図)および工事概算見積を作成します。
- 建築主の要望、条件等の把握(家族構成、資金計画、工程等)
- 敷地状況、法的条件の調査
- スケジュールの調整
b. 基本プラン
- お客様の要望、条件にもとづき基本方針を提案
- 動線計画(部屋と部屋のつながり)
- 提案用プランを作成(平面図、立面図、断面図等)。平面図が決まるまで数回の打ち合わせ
- 提案用パース/模型の作成
まずお客様の要望を聞き、動線プランと部屋の配置がわかる平面図を作成します(基本プラン)。
c. 設計契約(建築主と建築家)
基本プランが了承された時点で建築主と設計契約を交わします。
検討用の平面図と外観を提案します。この段階で平面図に変更が加わることもあり、その都度外観も変更していきます。
家族構成等、将来的な変化に対応させるために、より具体的な検討をしていただきます。建築主のイメージどおりの建物にするために、検討用の平面図、立面図、断面図の提出・修正を通例3、4回繰り返します。
d. 建築確認申請
平面図と外観が決まると、書類審査(確認申請)用の平面図と立面図を作成します。
関係官庁へ建築確認申請などの申請業務を代行します。一部の申請事項を除き法的に認定された法定事務所しか申請を代行できません。
建物を建てるときは「こんな建物を建てます」と申請し、関係官庁から許可を取ることが法律で義務付けられています。
平面図と外観が決定するという事は、内部空間だけでなく、自動車や塀の配置を含む全てのことが3次元空間の中に位置付けられるということです。 設計に取り掛かってから確認申請までは、およそ3ヶ月程度かかります。
e.概算見積もり
工事の概算を建築主の予算に合わせるために概算見積を行います。 予算に応じて建材・資材、内装、外壁材などのグレードを調整します。
価格が折り合うところで最終の仕様を決定します。
基本設計業務で作成した図面を基に実施設計を行います。実施設計とは基本設計をより詳しく描き表した図面を作成し、具体的な仕上げ材や詳細を確定・明記する事により、正確な見積もりの取れる図面を作成する段階です。
基本設計段階での概算見積もりは「概算」にすぎないので、実施設計を行わないと正確な見積もりは把握できません。実際に実施設計を行い見積もりを作成すると、概算見積もりと大幅な価格差が生じる場合もあります。
a. 基本設計に基づき詳細に検討
- 各部の空間と機能を詳細に検討
- 各部の設備と構造を詳細に検討
- 各部分の施工方法、仕上材の納まりを検討
- 材料や機器の資料を収集
b. 実施設計図面の作成
- 各専門職間の指示
- 調整
- 建築設計図書(平面、立面、断面等の各図、および各詳細図)作成(*)
- 構造計算書/構造設計図書の作成
- 設備計画/計算/図書の作成
- 工事仕様書(使用材料、工事手順書等)の作成
- 付帯設備の申請図書作成(消防・電気・上下水道・ガス・EV等)
| * 特記仕様書/仕上表/面積表/配置図/平面詳細図/断面詳細図/立面詳細図/展開図/
天井伏図/建具表/基礎伏図/各階床図/屋根伏図/軸組図/設備配置図/他 |
図面の総数は最低でも30枚になりますが、一枚あたりに要する時間は種類ごとにまちまちです。1日でもできる図面は4、5枚程度、4日以上かかる図面は少なくとも5枚以上あります。
[設計図]
図面は建築家の意思を職人に伝えるために、3次元の世界を2次元の紙面で表現します。 ハウスメーカーの場合、固有の標準仕様があり、それに基づいて施工する限りは建築家の家づくりの場合より新しく作成する図面の数は少ないです。
家が完成した後は家そのものに図面の痕跡は残りませんが、家づくりの過程では生命誕生における遺伝子と同様の役割を果たしています。その意味では図面はまさに家の一部であると云うこともできます。
私たちが怪我をしたときに回復できるのは、体の組織に遺伝子情報を読み取る仕組みがあるからです。同様に、家が改修を要するときは再び活躍します。いつまでも出番がなくなることはありません。
[色彩計画]
設計図の作成が進行し家のイメージが具体的になってくると、外観と内観の色彩計画を検討する時期になります。
色の組み合わせと配置は家全体のバランスで考える必要があります。 一つ一つがいいものでもバランスが悪いと本来いいものが台無しです。 建築家が自分で行う場合もありますが、インテリアコーディネータという専門家に依頼するのが一般的です。
図面が出来上がり建築主の確認が取れた段階でフューチャーハウジングは、 実施設計で作成した設計図書を基に地域の優良工務店の中からふさわしいとと考えられる工務店(原則3社)を選定(建築物の規模、内容、用途により候補工務店にホームページ上で公開して施工コンペ)見積書を募ります。
a.見積金額調整
まず工事の内容を理解してもらうために設計図書の説明を工務店にします。
- 予定工事価格を提示し、見積書の提出を依頼します
- 提出された見積書の査定
- 施工業者選定についての助言
工務店からの見積もり内訳を精査します。 見積もりもれの項目の有無などをチェックします。 最後の金額調整をします。 予算を超過している場合、施工業者と値引き交渉をしたり、設計を変更したりして予算へ近づけることもあります。
b.工務店を決定
お客様、建築家と協議し予定価格、支払条件等に合致すれば請負契約について助言をし、建築主と工務店との施工契約(工事請負契約)に至ります。
建築主と工務店との間での工事請負契約が締結されると工事に入ります。 施工監理とは現場の職人が工事を図面通りに遅滞なく行っているかどうか確認する業務です。設計意図を施工者に伝えるために、着工時に設計図書を施工業者に説明します。
建築家には施工業者の故意や過失による施工の不具合を監視する責任があるので、図面で表現しにくい部分について、各種工事の施工図を用いその都度工務店と打ち合わせをします。
施工監理と似ている業務に施工管理がありますが、その立場と任務は施工監理者とは大きく違います。施工管理者は工務店またはハウスメーカー側の人間であり、その任務は現場の職人の業務が順調に流れるように各工程で必要な人員と建材の投入時期を調整することです。施工管理者は設計図書を元にして作成した各工事用の「施工図」を使用します。
現場に出入りする施工者は工務店の人(大工)だけではなく、大工の作業と電気屋(室内電気配線を行う)や水道屋(水道管の配管などをする)等の専門業者の作業が並行して行われます。
だから互いの業務が影響しあわないように各業者の出入り時期を適切に配分する必要があるし、建材の納品時期も数度に分散して必要な品物が適切なタイミングで納品されなければれば職人の業務に差し支えることになります。
各種検査、確認および報告
各工程において設計図書どおりに施工されているかどうか確認し、必要に応じその都度施工者に指示します。建築主へ結果を報告します。
- 機器承認図を検査
- 材料の検査、仕上げ材料見本の検討
- 工事の施工検査
- 竣工検査及び報告書
工事が完了間際に建築家が建物を検査します。その後、建築主立会いのもと最終の検査を行います。必要に応じ手直し工事がされ、いよいよ引渡しとなります。
引渡し
引渡しとは、今まで建築家、工務店の監理、監督下にあった建物が建築主に移管されることで、建築主が家の鍵を受け取って名実共に家の主となることを意味します。
完成引き渡しの立会をし、建築主へ関係図書を提出します。 工事監理業務完了の締めくくりは、官庁建築課の立会による建築確認完了検査です。 建物が引渡され建築家の業務が終わります。